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向日葵の姫君~王女の結婚~(「寵愛」第三部」)
第58章 向日葵の姫君
「ありがとう、柳尚宮」




 室を出ようとする柳尚宮の背に、紅順は心からの言葉をかけたのだった。




 窓から差し込む格子模様の陽差しが日中の白から夕方の淡いピンクに変わろうとしている。床に描かれた模様が涙の幕の向こうで、ぼやけた。
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