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第59章 兄と弟

　紅順は涙の滲んだ眼で仁賢を睨んだ。




「ご自分は何でも完璧にやり遂げられると思っているのね」



「当たり前です。私は自分の人生を完璧にするために生きてきたのです。そのために幼いときから学問に励み、寝る間も惜しみ本を読みました。あの出来損ないの弟とは違います。弟は私が必死に勉強している間も庭を駆け回り、怠けてばかりいた。だから、今も良い年をした男が仕官の準備もせず、毎日を無為に過ごしているのですよ」