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向日葵の姫君~王女の結婚~(「寵愛」第三部」)
第64章 恋しくて
 紅順が八歳、仁賢が十二歳だった。二人は顔を見合わせて笑い合い、無邪気な笑い声がこの室内に響いていた。




 けれど、既にあの時、優しい仁賢は猫を被っていた。紅順に珍しい書籍を貸してくれたのも、優しくしてくれたのもすべては王女の婿という立場を手に入れるためでしかなかった。
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