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向日葵の姫君~王女の結婚~(「寵愛」第三部」)
第64章 恋しくて
 紅順は応えなかった。ジュンスに手を引かれて室を出る間際、仁賢の憎々しげな声が追いかけてきた。



「弟には、あの出来損ないだけには渡さない」




 何とも怖ろしげな憎しみに籠もった声だけが空しくその場に漂っているようだった。
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