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第66章 旅立ち

　英宗は肩をすくめた。




「七月半ばだったか。俺と紅順は興真君との縁談について大殿で話したんだ。その時、もう紅順の様子はどこかおかしかった。観玉寺詣での帰りがいつになく遅かった理由を問いただしても、さっぱり要領を得ない反応をしていた。何かがあるとは踏んでいたが、よもや評判の悪い男と拘わっているとは想像もしなかったというところだ」