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向日葵の姫君~王女の結婚~(「寵愛」第三部」)
第2章 謀~はかりごと~
 女将の心中も知らず、セリョンはまだあどけなくさえ見える笑みを美しい面にひろげる。女将はセリョンの身許を知らない。十六年前の春の朝、セリョンは翠翠楼の前におくるみ一つで捨てられていた。







 名前や身許を証すようなものは何もなく、ただ、赤児がくるまれていたおくるみは上絹で仕立ても良かった。
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