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もうLOVEっ!ハニー!
第7章 彼女の横顔

 コンコン。
 そして私は今村山薫の部屋をノックしているってわけです。
 初コンタクトですね。
 思い返せば。
 つばるとは嫌に濃い交流なのに。
 でもどこかで……
「はい? あ、松園さん」
 扉からひょこんと顔を出した彼女を瞬きもせずに見つめる。
 お風呂上がりのジャージ姿。
 手入れの施された肌。
 猫のように大きな瞳。
「こんばんは、ちょっとお話しません?」
 どこかで、彼女を避けていたのです。

 風が珍しく凪いだ屋上。
 薫は自分の体を抱くように腕組みをして、フェンスに近づいた。
「高いんですね~意外と」
 美弥さんと天体観測の約束をしたあの日は彼女はいなかった。
「それで話って?」
「え……あ、そうですね。せっかくの同期女子なのに村山さんとは今までゆっくり話したことなかったので」
「上級生と仲良いですもんね」
「そう見えますか」
「ええ」
 陸の前とは雰囲気が違う。
 被った猫はどこに消えたんでしょう。
 晴れた空には無数の星が瞬いている。
 それを一瞥して彼女は言った。
「早乙女つばると同じ中学だったらしいじゃないですか」
 月にまで届くような鋭い声。
 波紋。
 私は一瞬言葉を忘れた。
「……誰に聞いたんですか」
「本人に」
「嘘です」
 ぴくりと薫が眉を上げる。
「嘘って?」
「つばるは貴女と会話なんてしてません。彼が話したのは櫻井柚。そして貴女と彼女は親友らしいですね」
 月が照らした薫の顔は、色を失い能面のように白かった。
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