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もうLOVEっ!ハニー!
第7章 彼女の横顔
 コポコポと。
 お湯が沸く音が耳に心地いい。
 鳴海は腕を組んで湯沸かし器を一瞥して、それから相談に来た少女を見る。
 松薗かんなの顔には疲労感が漂っていた。

 管理人さんの部屋に初めに行きました。
 でも、留守でした。
 食堂は他の人がいるので、医務室に来たわけです。
「歓迎会から色々あったみたいねえ」
「暴露ゲームでしたっけ。もう懐かしいです」
「ふふ。貴方の決意表明は結構良かったけどね。まだ十五歳なのにしっかりしてるじゃない」
「なる先生みたいな強さがあればいいんですけどね」
「あたしはただの高飛車。十五でこんなんじゃ男寄んないよ」
 ピーっと電子音が鳴る。
 お湯が沸いたようだ。
 鳴海が二杯分カフェオレを淹れて持ってきた。
「飲める?」
「ありがとうございます」
「軽井沢の喫茶店の豆使ってんの。インスタントじゃないのよ? 美味しい?」
 にっこり笑って云ってくれるので、私もついつられて微笑みました。
「やっぱり笑顔がいいわあ。欲しいわ、その笑顔。あたしのって捻くれてるのよねえ」
 指でピースを作って口角を持ち上げながら呟く。
「そんなのはどうでもよかったんだったわ。何か相談したかったんじゃなかったかしら」
「……ええ。でも、大丈夫です」
 コトンとカップを置いて鳴海が向き直る。
「大丈夫は大丈夫じゃないってね。カウンセリングの基本よ」
 ですよね。
「絶対に受け入れられない人ってやっぱりどこにでもいますよね」
「いるいる。特に女はね」
「鳴海さんにもいますか」
「生徒にはいないわよ? でもこの業界は酷い。ほんっと酷いんだから。あ、秘密よ」
「はい。秘密です」
 二人で口の前に指をあてる。
 シーッと。
「ところで部活は決めたの? 今日、オリエンテーションだったんでしょ」
 そうでした。
「中学は、特に部活も入ってなかったので……迷ってます」
「じゃあさ、華海都サークル入らない?」
「なんですか、それ」
「隆人が作ったやつなんだけどね、この寮生で色々企画して旅行とか海行ったりとかね。たまには学園からのアルバイトを非公式でやらしてもらったりまあなんでもありよ」
「寮生限定なんですか」
「そう。だから人間関係が広がらないのが玉に瑕なんだけどね」
 美弥さんたちも入ってらっしゃるんでしょうか。
 私は一分考えて、答えを出した。
「それにします」
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