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もうLOVEっ!ハニー!
第9章 本性探し

 時限ごとに教師に「お大事に」と言われ、クラスから奇異な目で見られた一日が終わります。
 ぼふんとベッドに飛び込んで、前触れもなく沸いてきた涙をシーツに染み込ませる。
 なんで。
 どうして。
 誰が。
 神様嘘つき。
 ここでは生まれ変わらせてくれるんじゃなかったんですか。
 それだけを望んだのに。
 明日が怖い。
 上履きから、体操着、机、直接体に。
 そうしてエスカレートしていく先がちらつく。
 また、捨てなきゃ。
 感情。
 濡れた頬が乾いていくように。
 ピンポン。
 誰か来たみたいですね。
 眼を擦りつつ、扉を開く。
「こんばんは」
「隆、人さん」

 部屋に入るのは案内してもらったとき以来でしょう。
 大人の男性の存在感は大きい。
「足大丈夫? なるが今日は出張だから代わりに薬とか絆創膏とか持ってきた」
「ありがとうございます」
 お茶でも出すべきなのか迷いつつ、うろうろしてしまう。
 それを見られて笑われる。
「すぐ出てくよ。なるにまたセクハラって怒られちゃうからね」
「あ、でも、その」
「心配したんだ。担任から少しだけ話を聞いた。覚えてるかな? こばると美弥を連れて歩けって。あの二人は強力だ」
「そんな、先輩ですし……」
 モノみたいに言われても困ってしまう。
 それに美弥さんは今それどころじゃありません。
「心当たりはなにかあるの?」
 腕を組みながら扉にもたれて隆人が訊ねた。
 白衣にサンダル。
 女子の部屋では浮きますね。
「……ないことはないです」
「僕はね、かんな。ここにいる、この華海都寮にいる皆を過去の色んな問題から守る責任があるんだ。なるもそう。ここにいるのは全員ワケアリ。バランスなんて存在しない。皆好き勝手じゃないと生きていけない。かんな。今回の件は重要視しているよ。君ら一年生は余りに過去を共有し過ぎているからね」
「知ってるんですか」
「口には出さないけど」
 ずくん、と痛みが足に走る。
 緊張して力を入れたせいですね。
「……どうしたら、良いんでしょう」
「学園長に掛け合って君の下駄箱に監視カメラを仕掛けた。解決に犯人を知る必要があるなら映像はかんなにだけ見せるよ。視聴覚室のPC二十番、フォルダとロックパスワードはこれ。自動保存はされるけど六時間でデータは消える。朝の映像は昼休みにしか見られない」
 渡されたメモを見つめる。
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