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もうLOVEっ!ハニー!
第10章 甘い笑顔と花束

 吹け。

 吹け。

 夜風。

 強く。

 強く。

 もっと。

 もっと。

「んふふ」
 アリスはスキップ気味に下校していた。
 気分は高揚している。
 世界は輝いて見える。
 これでもうお姉ちゃんにだけ注がなくて済むのだ。
 この膨大な愛を。
「うふ、ふふ」
 幸せで笑いが空まで響いてしまいそう。
 かんな。
 愛しいかんな。
 靴箱のラブレターは届かなかったみたいだけど、私のキスはきっと届ける。
 だから、かんな。
 受け取って。
 でもその前に、貴女の周りの邪魔者をみいんな遠ざけなくては。
 二人の楽園は作れないでしょう?
 道端の花を摘み、花束に。
 雑草がよく似合う。
 ああ、かんな。
 その唇は私のもの。
 交差点に来て、花をぶちぶちと引きちぎり道路に捨てる。
 笑いが消える。
「……なのに、どうして」
 開いた瞳孔が余裕を奪う。
 どうして。
 そんなに嬉しそうに。
 昼の男と歩いていたの?
 踏みにじった花がアスファルトに色濃く残る。
「ふふふ」
 少し汚れた貴女が私にお似合い。
 愛してるわ、かんな。
 だからもっと、一緒に汚れましょ。
 欲望にまみれて。
 どろどろに。
 溶け合いましょ。
 かんな。
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