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もうLOVEっ!ハニー!
第12章 騎士は王子と紙一重

 たかだか十五年の人生。
 同じように苦しんで、同じように自分が嫌になって。
「……私、つばるのこと嫌いになれないのは、それもあるんですかね」
 どこにともなく向けた言葉。
 隣のつばるの瞬きを止める程度の威力を発した言葉。
 それから現れた汐里さんが空気に何かを感じて、無言で料理を置いて行った。
 不協和音のような会話も、途切れてしまえばどうして成り立っていたのか不思議なほどに見事だったと思えてくる。
 いじめっ子といじめられっ子が学校から飛び出してしまえば同格のこども。
 ふふ。
 あほみたいな考えです。
「お前さ、誰かと付き合うことあんの?」
 固まった時間を押し進めるようにつばるが呟いた。
 尚哉さんにした愚行も知らないで。
「さあ。どうでしょう」
 残った液体を掬って舐める。
 つばるは、思い出したように出来立てのトマトシチューを口に運んだ。
 暖かい香り。
 胃まで落ちて、ふわりと熱を発する。
 見ただけで美味しいのがわかる。
 汐里さんの料理には深い愛が込められているんです。
 だから、この寮の料理人になったんだと思います。
 何人も、傷ついた生徒を癒して。
 尚哉が相談した時の椅子に腰かけているのも知らず。

 
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