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もうLOVEっ!ハニー!
第15章 何も叶えぬ流星群

 シャワー室に向かいながら、バクバクと心臓の音が静まらないのを感じる。
 あまりに激しい映像の余韻に足元がふらつきそうだ。
 本当は支えて欲しかったけど、今しがた結ばれましたと言わんばかりに寮内を歩くなんて有り得ない。
 時刻は二十時半。
 誰か使用中かもしれないと思いつつ、扉を開く。
 水音が聞こえて、脱衣所には誰もいないのを確認して素早く裸になると、一番奥のシャワーを浴びた。
 壁の鏡に写し出された鎖骨に色濃い赤い跡を見つけて、急いで鏡にシャワーをかける。
 唇をグッと噛みながら髪を流す。
 最中がどうしても甦ってくる。
 余裕のない視線に、全身をくまなく見られた羞恥、首筋に残る強ばり。
 今まで見せなかった余りに暗い独占欲。
 刺激が残る割れ目に指をはわせて、粘液を水に流していく。
 あんなに濡れるなんて。
 どうしても過ぎる過去の経験に比べてしまう自分を穴に埋めたくなる。
 でもあまりに違ったから。
 心を許した相手と結ばれることってこんなに、顔と心を緩ませてしまう。
 鏡に映る横顔に情けなくなり、頬をぺちぺちと叩く。
 なんて顔してるんですか。
 この女は。
 由比ヶ浜でのキスからまさかこんなにも早くに。
 心の準備が出来てなかったと言えばそうですが、部屋に来た時の先輩の目線に勘づくものがなかったかと言うと嘘になります。
 尚哉さんと何を話したんでしょう。
 あそこまで嫉妬の炎をさらけ出すこと。
 そりゃそうですよね。
 軽率な行動を聞いたのだとしたら。
 泡を流しながら、自分がとても尻軽で浅ましい人間のような気がしてくる。
 あんなに美しい人と結ばれて良かったんでしょうか。
 これからも傷つけないでしょうか。
 きゅ、とノズルを回して水をとめ、湯気を上げながら、脱衣所の前のタオルを巻き付ける。
 ガラリと扉を開くと、そこに美弥が立っていた。
 思わず息を飲んでしまう。
「わ、かんなだったんだ。久しぶりだにゃ」
 距離にして数メートル。
 急いでタオルを首まで持ち上げる。
 既にキャミソールとジャージパンツまで履いていた美弥が、その動きに何かをくみ取って近づいてくる。
 濡れた髪を揺らして、目の前に立つと、じっと全身を見つめられてしまう。
「日焼けしてない? かんなは肌が綺麗だね」
 指の背で首筋を撫でられて、思わずタオルから手が離れる。
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