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もうLOVEっ!ハニー!
第16章 台風の目の中

 震える舌を這わせると、安心したような吐息が頭上から聞こえる。
 味なんて考えたくもないのに、鼻からも強烈な刺激が記憶に刻まれていく。
 唾液を擦り付けながら先端まで舐めると、当然のように口の中に突っ込まれた。
 寝転んだまま顔だけ起こされて、グリグリとスライドされる。
 硬さを増していく感覚が気持ち悪い。
 ズプ、と口から外すと、また脚を持ち上げられる。
 今度は別の穴にあてがわれた。
「む、りです……」
 力無く声を上げるも、拒否権などない。
 ゆっくりと押し広げられて、感じたことの無い不快感とともに、それを飲み込んでいく。
「めいよりずっと淫乱だね」
 姉の名前に眩暈がする。
 こいつは姉妹を食ってるんだ。
 反吐が出そうな現実が、早くすぎ去ればいいのに、ズブリと動くそれが記憶を飛ばしてくれない。
「気持ちいい?」
 今更聞かれた問いに、最早どうでも良く頷く。
 内臓ごと動かされるように、段々と早くなる律動。
 何故この人に初めてをいくつも捧げているのか、奪われているのか。
 あの日の謝罪になんの意味もなかったことに、虚無が心を自衛する。
「ほら、ちゃんと見て」
 それすら許さぬというように、身を起こされて結合部を無理やり見せられる。
 はしたなく収縮する秘部のさらに奥、後ろの穴が塞がっている。
「今から言うこと繰り返して」
 額を押し当て、ひみつごとのように囁かれる。
「私は、清龍のものです」
 なおも動き続けるそこを見て、拒絶の言葉も忘れて繰り返す。
「いつでも受け入れます」
 言い終えると同時にたまらず嗚咽した。
 酸っぱい唾液を手のひらで受け止め、はーっ、はーっと息をする。
 言わせた男は満足そうに髪をかきあげて、初めてのように優しく唇を重ねた。
 今更のように煙草の香り。

 ああ、村山薫でなく。
 私が出ていくべきだったんだ。

 行為の後に濡れたタオルで全身を拭かれながら、天井の模様に視線を固定する。
 指の先まで丁寧に拭われていく。
 体液は消えても、痕はふてぶてしく残る。
「やっと頭痛が消えた気がする」
 独り言のように呟いた清龍が、私の手を握る。
 あれからどのくらいの時が経っているんでしょう。
 私の不在にガク先輩は気づいたでしょうか。
 食堂のみんなは心配してるでしょうか。
「また三日後おいで」
 悪魔の言葉に見送られ、自室に戻る。
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