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もうLOVEっ!ハニー!
第4章 暴露ゲーム開始

 案内をしながらずっと観察していた。
 記憶の中の弟と比べるように。
 早乙女つばる。
 単体で評価するように。
 確か、都立の偏差値の高い高校を目指していたんじゃなかったか。
 そんな疑問を押しとどめて。
 ここは、過去とは切り離された場所。
 いくら兄弟だって、その例外じゃない。
 それを、歓迎会の隆人の言葉に思い知らされた気がした。
 そう。
 オレはもう兄じゃない。
 ただの先輩。
 苗字が同じってだけの、先輩。

 けど、そんなに単純じゃない。

 歓迎会が終わって、村山薫とつばるを送る役を買って出た。
 会話こそ弾まないものの、穏やかな雰囲気だった。
 薫が部屋に入るまで。
 バタン。
 扉がしまった途端につばるの空気が変わった。
 オレを見て、冷笑する。
「兄貴って本当にバカだよな」
「あ?」
 さっきまでこばる先輩と呼んでいた舌の根も乾かないうちに。
「パソコンの履歴、ちゃんと全部消しきらないとことか。おかげで簡単にこの便利な学園が見つかったわけだけど」
「まさか……お前、オレがいるって知ってて」
「別に兄貴に会いに来たわけじゃないよ。ここのシステムが丁度良かったから。あの鬱陶しい家から出るには」
 デジャヴだ。
 この目。
 この言い方。
 この寮を選んだ時のオレにそっくりだ。
「住み心地良さそうだね。そんな自由な髪型して、同レベルの連中とつるんで」
「馬鹿にすんな」
 苛立ちが米神に来る。
 弟の声が昔から癪に障った。
「別に馬鹿にしてるわけじゃないけど」
 扉を開いて中に入ろうとしたつばるを留める。
「……なに?」
「なんでここに来たんだ」
「さっき言ったじゃん」
「違うだろ?」
 声色を変えて圧しても、つばるは動じない。
 冷たい目でオレを見て、素っ気なく躱すだけ。
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