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もうLOVEっ!ハニー!
第4章 暴露ゲーム開始

 ふわりと鼻をくすぐる上品な薫り。
 それから目に飛び込んだのは、余りに学園という場には相応しくない、まるでそこだけ切り取られたような光景だった。
 カーテンのない大きな窓の前に置かれた美しいブラウンの丸テーブル。
 三本の足は空中で交差して、重力なんか感じさせない曲線を描いて床に接している。
 真っ白なテーブルクロスが縁から垂れ、影の形を神秘的に演出する。
 ピアノ椅子のように背もたれのない小さな椅子が添えられ、そこに鮮やかなレースの暗紫のドレスを纏いヴァイオリンを顎もとで支え、黒手袋を嵌めた腕を高く上げて演奏をする女性が座っていた。
 長いカールした髪は空気に溶けそうなほど透明感のある金色で、上体を揺らしながら奏でる度にふわりと空気を誘う。
 蛍光灯の明かりがスポットライトと錯覚してしまうほど高貴な雰囲気に呑まれそうになる。
 ピタリと音が止み、楽器を下ろして彼女が振り返った。
 つい声が上がりそうになる。
 まるで……
「邪魔して悪いな、姫」
「ええ、本当に。せっかく学園に戻ってきて久しぶりにこの子と触れあってたのに」
 白い肌は陶器のように滑らかで、眼は硝子玉のように生気のない不気味な輝きを秘めている。

 人形。

 そうです。
 まさに彼女は膝元に大事に座らされている人形のように病的な美しい顔をしてました。
 コトンと楽器をテーブルに置いて、ゆっくりと立ち上がり会釈する。
「八坂蘭よ。よろしくね、新しい寮生さん」
 ソプラノの声は、さっきの音色よりも流暢に私の鼓膜を揺らした。
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