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もうLOVEっ!ハニー!
第1章 生まれ変わり
 壱〇九号室。
 ここが、管理人さんの部屋らしいです。
 パンフレットを片手に、そっとノックをする。
 反応がない。
 大きめにもう一度する。
 音すらしない。
 扉に耳を当てて首をかしげていると、ぽんと肩に手が置かれた。
「新入生?」
 高めの男の人の声。
 振り返ると、鮮やかな紅い髪にチェーンのネックレスをした長身の男が立っていた。
 学園に制服はない。
 黒いパンツと淡い青のシャツ。
 春らしい、爽やかなスタイル。
「そうです」
「へえ。なんて名前?」
「……どなたですか?」
 おそるおそる彼の手から逃げる。
「俺? ああ、ごめん。ここの寮生だよ。管理人とは従兄弟関係でさ。漆山陸。三陸って呼ぶ奴等がいるけど普通にリクでいいから。ああ、二年だ。よろしく」
 すっと手が伸ばされる。
 久しぶりすぎてわかりませんでした。
「握手。俺とじゃいや?」
「そんなことないです」
 急いで手を握る。
 大きな、温かい手。
 骨ばってる。
 すぐに陸は頭に気づいた。
「怪我、してねえ?」
 ばっと手で隠す。
「いえ、これは……前の私の置き土産と言いますか」
「はあ? とにかく手当しねえと。隆人の奴いないみたいだから、俺が案内するよ」
 握られた手をそのまま引かれる。
 クリーム色の廊下をカツカツと。
 歩幅ってこんなにも違うのですね。
 よたよたする私にすぐに気を使ってゆっくり歩く。
「わり。痛いよな」
「全然平気です」
「んなわけねーだろ」
「本当です……」
「別に怒ってねえよ?」
「わかってます……」
 もどかしさが伝わってくる。
 でも、男の人と普通に会話なんて幼稚園以来でしょうか。
 慣れるわけがありません。
 顔が自然と熱くなる。
 沢山の扉が並ぶ中、無言が続く。
 途中、道が分かれたところで声を掛けられた。
「おい、三陸海岸。どっから攫ってきたJCなんて」
「あっち行け、てめ」
「なーに。可愛い子じゃん、うけるー」
 いきなり現れたのは、黄色に近い金髪と派手なジャケットの青年。
 肩までの髪をワックスでオールバックにして、丸見えの耳からは鎖のようなピアスが揺れる。
「あ、オレね。早乙女こばるっての。こばるね。こばりんとでも呼んでよ、JCちゃん」
「ロリコン消えろ」
「傍から見たら陸のがロリコンだぜ?」
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