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わたしの心が消えるとき
第6章 偽りの恋
「…特に異常は見当たりませんね」
年配の医師は、ボードに吊られた写真を見ながら言った。
脳を輪切りにした画像が、たくさん並んでいる。

「そんなはずないよ!絶対、何かあるって!」
真由は興奮していた。

当人である渚は、静かだった。
今までも月に一回、頭痛に悩まされる…なんて話しをしたら、真由はますます騒ぐだろう。

あの後渚は、数分間、気を失っていた。
真由は心配して、強引に渚に精密検査を受けさせたのだった。

医師は
「しかし…脳出血も腫瘍も見当たらないから…あとは心因性のものか…ストレスとか…」
なんだか、はっきりしない。
真由は苛立った。
「ねえ、もっとちゃんと調べてよ!」

渚は真由に
「もういいよ…あたし帰るから」
「だめだよ!もし悪い病気だったら…」
「大丈夫だよ。もう痛くないし」
そう言って、診察室から出ていった。
真由が後を追う。
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