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女教師と男子生徒、許されざる愛の果てに~シークレットガーデン
第4章 哀しいすれ違い
 だが、人は同時に彼がその裏で何を思い、どれだけの傷を負ったのかは知らないし、知ろうともしない。彼がますます頑なになってゆく原因はその辺りにありそうな気がするのだ。
 とにかく沙織が先輩として心配してくれている気持ちはよく伝わってきた。心優は笑顔を作り、礼を言った。
「ありがとうございます」
「本当よ、私の言ったことを忘れないでね?」
 二人の間を他の教師たちが次々と通り過ぎていく。その中には数学の本井もいた。本井がゆき過ぎようとして、つと振り向いた。心優を認めてやってくるのに、沙織が目配せした。
「じゃ、私はこれで。本井先生、おはようございます」
「おはようございます」
 本井も丁寧に挨拶を返している。沙織の姿が廊下の角を曲がり完全に見えなくなったのを確認してから、本井は心優に愛想良く笑いかけた。
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