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ひと夏の恋……そして……
第19章 好きなら奪って
「やっと寝たな」
夏樹は優しい笑みをこぼしながら、真和の髪の毛を撫でていた。
「うん。朝まで一緒にいられるって分かって興奮したみたい。この分だと早起きしちゃいそうだね」
気持ち良さそうに眠る真和を挟んで布団の上にいる私たちは会話をする。
佐伯さんが帰った後、残された私たちは違和感なく3人で過ごすことができた。
朝まで一緒にいられることが分かった真和は夏樹にべったりで夏樹から離れようとはしない。
夏樹がトイレに行こうとすれば一緒について行き、それだけ寂しい思いをさせていた事になる。
一週間に1度の散歩だけで満足してくれていたと思っていたのは大人の勝手な思い込みで、真和は真和なりに我慢をし私たちに気を使っていたんだろう。
「本当に真和には可哀そうな事したな。それに真緒にも……ごめんな」
真和の髪の毛を撫でていた手を、今度は私の頬に伸ばして言葉にする。
その手は暖かくてホッとする。