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爪先からムスク、指先からフィトンチッド
第18章 4 涼介のお節介
「ちょっと待って」
環を引き留め、「足、怪我したの?」と指をさす。
「あ、さっきくじいて」
環は小さな中国の花の刺繍が可憐に施された赤いビロードの靴を履いている。涼介はまるで纏足のような見える小さな足にごくりとつばを飲み込むが、冷静さを取り戻し、「そこに座って」バス停のベンチに環を促す。やはり足が痛いのだろうか、素直に環は腰かけた。
涼介は胸元からミントの精油を取り出し、ハンカチに垂らして環の足首に巻く。
「ありがとう」
素直に礼を言う。モデルだからなのだろうか、人に何かされることに無抵抗でいる環は非常に無防備に見える。
「病院に行く? それとも帰る?」
「病院はいい。帰る」
「どこまで帰るの?
「グランデホテル」
「ああ、ホテル住まいなのか。送るよ」
「タクシー呼ぶから平気」
「いやあ、君は薫樹さんの友人でしょ。こんなんで放置しちゃったら俺も、気まずいからさ。ちょっと肩を貸すだけだから」
「そう、じゃあいいわ」
環を引き留め、「足、怪我したの?」と指をさす。
「あ、さっきくじいて」
環は小さな中国の花の刺繍が可憐に施された赤いビロードの靴を履いている。涼介はまるで纏足のような見える小さな足にごくりとつばを飲み込むが、冷静さを取り戻し、「そこに座って」バス停のベンチに環を促す。やはり足が痛いのだろうか、素直に環は腰かけた。
涼介は胸元からミントの精油を取り出し、ハンカチに垂らして環の足首に巻く。
「ありがとう」
素直に礼を言う。モデルだからなのだろうか、人に何かされることに無抵抗でいる環は非常に無防備に見える。
「病院に行く? それとも帰る?」
「病院はいい。帰る」
「どこまで帰るの?
「グランデホテル」
「ああ、ホテル住まいなのか。送るよ」
「タクシー呼ぶから平気」
「いやあ、君は薫樹さんの友人でしょ。こんなんで放置しちゃったら俺も、気まずいからさ。ちょっと肩を貸すだけだから」
「そう、じゃあいいわ」