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爪先からムスク、指先からフィトンチッド
第19章 5 王と姫と王子
「調香……学校。ジャン・モロウ……」
「確か、あそこが今度モデルをオーディションするって言っていたな。公開じゃないから情報は知ってるものしか知らない。私の紹介だと言いなさい」
「え、で、でも……」
「まさか、君は実力だけで勝負したいとか言わないだろうね。国籍ですら不利なのに。ちゃんとチャンスを使うように。ダメな時はそれでもだめなのだから」
マリーは優しい目で頷きながら環を見つめる。
「あ、ありがとうございます」
初めて希望の光が見え始めた環は頭を深くさげた。
「今日は、ここで失礼するわ」
二人の夫婦を見送り、セーヌ川の向こうのオーディション会場へ目をやった。
「確か、あそこが今度モデルをオーディションするって言っていたな。公開じゃないから情報は知ってるものしか知らない。私の紹介だと言いなさい」
「え、で、でも……」
「まさか、君は実力だけで勝負したいとか言わないだろうね。国籍ですら不利なのに。ちゃんとチャンスを使うように。ダメな時はそれでもだめなのだから」
マリーは優しい目で頷きながら環を見つめる。
「あ、ありがとうございます」
初めて希望の光が見え始めた環は頭を深くさげた。
「今日は、ここで失礼するわ」
二人の夫婦を見送り、セーヌ川の向こうのオーディション会場へ目をやった。