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爪先からムスク、指先からフィトンチッド
第22章 ラブローションに溺れて
 くちゅくちゅと中指で内壁をこすり、馴染ませほぐしかき混ぜながら、外で小さく尖った花芽を舌先で回す。

「あん、ああん、やああん、そん、なこと、早く、あん、来て、薫樹さ、ん」
「ああ。これはよくないな」

 薫樹は愛撫の手を緩め、芳香の方へ向き替える。

「君はイキそうになるとすぐセックスをしたがるからね」
「ええっ、ひどい、うぅ」

 残念そうな芳香にローションに濡らした指先を咥えさせる。

「あ、甘い……」
「ゆっくり抱きたいんだ」
「じゃ……私にも、薫樹さんをマッサージさせて……」
「ああ……」

 芳香のてのひらにローションを垂らすと彼女は薫樹の首筋から硬い胸にそっと伸ばして塗り付け、円を描く。
痩せて骨ばっているが広い肩にもローションの伸ばし、首筋にキスをしてローションを舐めとる。

「ああ……気持ちがいいよ」
「男の人ってここは感じますか?」

 白い広い胸を撫でながら、薫樹の固い乳首を口に含み、自分がされるようにコロコロと口の中で転がすように舐める。

「ん――なかなかいいよ……」

 腰まで脱げた白いローブをはぎ取って、芳香はちらりと薫樹のものが大きくなっていることを確認し、ローションをかける。
咥えたい衝動を堪え、手でぬるぬると撫でまわすと怪しい香りが立ち込める。

「芳香……」

 硬質の澄んだ声に湿り気が帯びられ、その声で名前を呼ばれると芳香の身体の中心が疼く。

「薫樹、さん……」


 甘くてエロティックな香りがするローションをお互いの身体に塗っては、撫でまわし、舐めとる行為を続けているといつの間にかローションが無くなっていた。

「あ、なくなっちゃった……」
「うーむ。結構な量があったはずなのに」

 ふっと我に返ると芳香は「くっぷっ」と小さなゲップをした。

「あ、やだっ、ご、ごめんなさいっ」
「フフ、いいよ。起きてミントティーでも飲もうか」
「そ、そうですね……」

 ゆっくりキスをして二人は笑い合う。
ローションのせいで胃が満たされてしまい欲望が薄らいでしまった。
結局、マッサージをするだけで今夜は終わってしまったが不満はない。
 ただ薫樹はローションに良い味が付くことは必ずしも良いことではないと、後で涼介に意見しようと思っていた。


第三部 終わり
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