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爪先からムスク、指先からフィトンチッド
第14章 6 香りに満ち満ちて
「こうなったら――」

 身体をずらし芳香にされるままの状態でシックスナインの体勢を何とかとった。

「ああ、君もすごい――。なんて芳香だ」

 足の付け根から香り立つ麝香に薫樹はごくりと喉を鳴らし、足を開かせ、茂みに顔をうずめた。
花芽を吸い、花弁をかき分け、舐めまわし、吸い上げ香りを嗅ぐ。

「あっ、やっあ、あんっ、だ、だめっ、あうっ、うっ」

 芳香は高い声で喘ぎ始めた。しかし薫樹のモノを咥えて離そうとはしない。
お互いに夢中になって愛撫し続けるが、やはり快感の限界はやってきてしまう。

「ああ、もう、そんなにされたら、ダメだ!」

 至上の香りを堪能しながら、肉体的な快感を得、もう二人ともどうなっているのかよく分からなくなっている。

 限界に近い薫樹は思わず強く芳香の花芽を吸った。

「あっ、あ、あん、くぅうん」
「くっ、うっ、ふぅっ――」

 同時に達する。

 芳香の太腿がぶるっと震え、ガクッと力が抜けると、薫樹を咥える力も弱まり拘束から放たれた。

 息を整え薫樹は身体を起こし、芳香の顔の方へ向きを変える。

「ああ、こんな――淫らな……」

「あ、はぁ、薫樹さん……」

 うっとりと上気した頬に潤んだ目、そして半開の口元から白濁液が漏れている。

 口元をぬぐって綺麗にしてやると力尽きたように芳香は目を閉じ眠ってしまった。
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