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第1章 ことのはじめ

　そのサイトによるとソリューションXは性的虐待の相談、解決を図ってくれる非営利団体だということだ。

「無料で、誰にも内緒で解決してくれるらしい。噂によると、所長は数年前の衝撃波事故に巻き込まれた突然変異体だって」

「あの騒動って、北陸でおきたブリックワープ事件のこと？」

「噂だよ。法律とか無視して、特殊能力で悪人を制裁するって噂」

「それなら何とかしてくれるかも。どう、一緒に行かない？」

　今井久人は顔を赤らめて、スマホを胸にあてる。それから返事を打つ。

「いいよ、一緒に行くよ」



　サイトからメールで相談の申込みをすると、すぐに返事が返ってきた。



　さて、その日。

　メールで指定されたとおり、二人は横浜市のとあるホテルにやってきた。フロントで東川という名を告げると、最上階の一室を訪ねよと返事が来る。
　彼らを待っていたのは30歳くらいの若い男だ。彼は東川真と名乗った。

「とにかく細かいところまで話をして欲しい。何があったのか、君たちがそこで何をさせられたのか」

　浩介の隣で今井久人がぽっと顔を赤らめ、恥ずかしそうになったが、東川も浩介も気づかないようだった。