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はなむぐり
第9章 はなむぐり



「わぁ…すごく綺麗っ…」

蜜樹の綺麗な両目によく合う輝き。誕生石のハート型のアクアマリンの上に二つ連なる小さなダイヤモンドのネックレス。わがままを言わずに育ってきて。ずっと前からこういったことをしたくて仕方がなかった。

「気に入ってくれたかな」

私の問いに何度も頷いて胸を押さえた蜜樹。

「ありがとうっ…いいのかな。こんなに幸せで。怖いぐらいだよ。一生大切にするっ…ありがとう」

私は椅子から腰を上げ、箱を胸に抱いて目を瞑る蜜樹の後ろに回って抱きしめた。

「いつもありがとう。愛してるよ。こんな私を愛してくれてありがとう」

美しい横顔に口づけ、蜜樹の手の中にある箱からネックレスを取り出し、髪を前の方に流してからつけた。蜜樹はバッグから手鏡を取り出して、鎖骨の真ん中で光る二つのダイヤモンドの下で揺れるハート型のアクアマリンを指で撫で、私を見上げる。

「よく似合ってるよ。綺麗だ」

「ありがとう。智さん…好きよ」

顔を両手で包まれて引き寄せられる。
私も小さな顔を両手で包み、深く口づけた。
脳にじんじん伝わる水音が身体の内側を熱くさせ、角度を変えながら甘い口内をじっくり味わった。

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