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第59章 唱和

堂は開祖と呼ぶ男のオヤジが、骨董道楽をこじらせて建てた小屋であった。
そもそもは霊廟でもなければ、教義を納めたものなんぞ何も無い。

男は黄ばんだ和紙を引っ張り出してきて、漢字四文字を思いつくまま、墨でそれっぽく書いた。

それは昨晩のことだった。それらをセミナーハウスでの講義に入る前、たった今しがた堂の壁に貼っただけのチンケな作品であった。

○実はこういう雰囲気に弱い女だと見積った。