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第20章 甲虫

セミの観察から明くる日、少年は昆虫の生態観察のため、今日もまたお気に入りの薮へやってきた。

この前、観察に来たとき、次のターゲットを見つけていた。
とある欅の根元にはウロがあった。その木の股には樹液がべっちょり溜まる。本日の目当ては、そのぱっくり開いたウロであった。

深い薮のさらに奥の方。少年は潜り込んでいった。
ウロのある欅に着く。カブトムシが一匹、予想通り樹液に吸いついていた。

少年はカメラを構え、録画ボタンを押す。
その被写体はメスのカブトムシであった。