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さすがに無理やろ
第10章 天国と地獄

ゆっくり考えたらええと言うたものの
公園から
青山さんの家は近い

さて
青山さんは
なんて言うやろう

内心ワクワクしながら
冷静な振りをして
俺は
青山さんの右手を握り続けていた

「青山さん」

「はい」

「ちゃんと素を出さんとあかんで?」

「あ、はい。
頑張ります」

「あはは。
まぁでもわりと出てるんちゃうかなぁ。
俺とおる時は
会社の青山さんとは別人やで?
モジモジしてるし
いっつも迷うてる感じや。
会社ではスパッとしてるもんな」

「あーはい」

「まぁでも楽しみやわ。
俺の知らん青山さん
もっと見れるとか楽しみでしかない」

そう言いながら
青山さんの顔を覗くと
青山さんはちょっと困ったような顔で
俺を見上げた

心配せんでええ

俺はもう
青山さんに惚れてもうてるから

「あ、もう着くで。
青山さんの家見えてきた」

「あ、新飼さん」

「ん?」

「記憶、消してないじゃないですか」

「あはは、せやったな。
消そうとしたけどアカンかったわ。
好きな子の家なんか
忘れられへん」

「……もう…」

「さて、どないする」

「……」

「俺の部屋来るか?」

「ん〜…」

悩んでんのか
青山さんは
立ち止まって自分の住む
アパートを見つめた

「それともホテルがええか?」

「いえ、それは」

「あはは
なんや返事早いなぁ。
残念」

「新飼さん…」

「ごめんごめん。
せやけどな」

「はい」

「ここで青山さんがホテル
言うたって俺はええねん。
変な意味違うで?
ホテル行く言うても
行かへん言うても
どっちの青山さんでも
俺は変わらず青山さんのこと」

「わ、わかりました。
もう、わかりましたから」

青山さんは
周囲を気にしながら
頬を赤くした

「ほな、どうする?」

「じゃあ…
散らかってますけど…」

えっ!!
と、言うことは!

「今日は
私の部屋に…」

「ほんま?!」

「…はい。
いつもの私を知ってもらうのが
目的なので…
本当に散らかってますけど」

「かまへんかまへん」
俺はそう言いながら
モジモジしてる青山さんの手を引いて
歩き出した

青山さんの住む部屋に向かって




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