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さすがに無理やろ
第10章 天国と地獄
そして
カップの中のコーヒーが
無くなった頃
「新飼さん…」
「ん?」
青山さんが
穏やかに語り始めた
「私…」
「うん」
「新飼さんのこと
信じてみることにしました」
「え?」
「あ、急にすみません」
「いや、ええよ。
やっと信じてもらえて嬉しいし。
そんで?」
「あ、はい。
だから…なんで言うか…
しばらく
普段の私を見てもらって
それでもまだ
新飼さんの気が変わらないなら
あの…」
付き合うてもええ思うてる
そう言いたいやな?
せやけどごめんな
俺
分かってないふりするわ
青山さんから
ちゃんと聞きたいから
「変わらへんかったから、何?」
「あの…
新飼さんが言ってたように…」
「ん?」
「あの、私は
特に明るいわけでも無いですし
お喋りが上手いわけでも無いです」
「うん」
「若くもないし
会社では特に仲の良い人もいません」
クスッ
何を言うてんねん
青山さんは俺から視線を外したまま
肝心な言葉を
なかなか言えずにいた
しゃあないなぁ
そんな青山さんがかわいそうになって
俺は青山さんの方に座り直して
顔を覗き込むと
青山さんは明らかに動揺して
何も入ってないカップを口元に運んだ
「話、変わってきてるで?」
「……」
「俺の気が変わらへんかったら」
「……」
「付き合うてくれる?」
「はい」