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第6章 人妻

「いやはや、お熱いことで。
そろそろ出発させていただきたいのですが、魔方陣に乗っていただけますか？」


「はい。何時でも出発してください。」


さっさと魔方陣の上に乗っている私たちがそう答えると、サハルとか言う優男は小さな音でチッと舌打ちしてから魔方陣を発動させた。

足元が光り、魔力が空間を包んだ瞬間に違う景色になる。
それは、プレハブのような内装で、事務的な書類が沢山置かれた部屋だった。


「サハル！やっと来た！遅かったじゃないか‼」


「すみません。なかなかこちらの…」
「申し訳ありません。奥様を診察させていただいておりましたもので、少し遅れてしまいました。
私が医師のシェン・ディーテ、こちらが看護師のリリィでございます。」


「えっ！？ナターシャ？どこか悪かったのかい？
っあ！すまない！僕は領主のクロード・マグダレーナだ。君達を歓迎するよ！」


随分と慌ただしい方ですね。

サハルに喋らせるのがイヤで、被せ気味に説明したが、あちらはあちらで随分せっかちな領主様のようだ。


「目立った悪い箇所はありませんでしたが、その事で２、３、ご相談したい事があるのですが、後で時間を作っていただけますか？」