この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第3章 第一話【天つみ空に】 其の参
かつてお逸の母お駒は、江戸でも評判の佳人であった。お逸は、そのお駒に生き写しなのだ。お駒は十七という若さで、お逸を生んで亡くなった。お駒が仁左衛門に嫁いだのは十六の春であったが、当時、清五郎はまだ十四の少年にすぎなかった。それでも、仁左衛門に女房だと紹介された時、あまりの美しさに身体が震えたほどだったのを記憶している。そして、心では、これほどの美貌の女を得た仁左衛門を妬ましく思ったのは確かだ。
しかも、お駒は容姿だけではなく、心根も優しい女だった。そんなところも、お逸は母によく似ている。清五郎にとって、お駒は初恋の女だった。
しかも、お駒は容姿だけではなく、心根も優しい女だった。そんなところも、お逸は母によく似ている。清五郎にとって、お駒は初恋の女だった。