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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第3章 第一話【天つみ空に】 其の参

彼女は眼を見張った。彼の鋭い指摘に愕き、表情を消す。少しうつむき―顔を上げたときにはニコッと口の端をつり上げて、冴え冴えと涙を残して輝く瞳で真吉を見据えた。
「判ったわ、私、逃げます。真吉さんと一緒に行くわ」
二つに一つ、どちらかを選ぶ―、先ほどの真吉の言葉を心の中で繰り返す。
仮に清五郎の裏の顔を知る前のお逸だったら、大いに戸惑ったに違いない。清五郎への気持ちは異性のそれではなかった。いつまで経っても、清五郎を良人として受け容れることは無理だった。
「判ったわ、私、逃げます。真吉さんと一緒に行くわ」
二つに一つ、どちらかを選ぶ―、先ほどの真吉の言葉を心の中で繰り返す。
仮に清五郎の裏の顔を知る前のお逸だったら、大いに戸惑ったに違いない。清五郎への気持ちは異性のそれではなかった。いつまで経っても、清五郎を良人として受け容れることは無理だった。

