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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第4章 第一話【天つみ空に】 其の四
初め、お逸はなかなか眠れなかった。身体は泥のように疲れているはずなのに、何故か意識は冴えていて、眠れなかった。こうして真吉と改めて二人だけになってみると、真吉もまた男だということを意識してしまった。
考えてみれば、お逸は伊勢屋を出るときから、薄い夜着一枚の姿であった。出合茶屋という男と女が逢い引きを繰り返す特殊な場所もあいまって、我が身が夜着一枚だけの姿であることを殊更意識することになる。伊勢屋を出るまでは、清五郎から一刻も早く逃れたい一心で、そこまで考えるゆとりがなかった。
考えてみれば、お逸は伊勢屋を出るときから、薄い夜着一枚の姿であった。出合茶屋という男と女が逢い引きを繰り返す特殊な場所もあいまって、我が身が夜着一枚だけの姿であることを殊更意識することになる。伊勢屋を出るまでは、清五郎から一刻も早く逃れたい一心で、そこまで考えるゆとりがなかった。