この作品は18歳未満閲覧禁止です
この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第4章 第一話【天つみ空に】 其の四
それでも、なお、甚佐の楼主としての勘が何かを告げている。そう、甚佐は確かに、この炭団のような小娘に何かを感じているのだ。
甚佐は腹の内で唸った。亡き先代―父親の跡を継いで花乃屋の楼主となって以来、二十年間、こんなことは、いまだかつてなかったことだ。
「そちらの娘は、お前さんにとって、どういう拘わりがあるんだえ?」
もう一度、顎をしゃくると、今度は真吉は淀みなく応えた。
「―妹だ」