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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第5章 第二話【春の日】其の壱
その同じ頃。花乃屋の入り口を入ってすぐのところにある楼主の部屋では、おしがが甚佐に事の次第を報告している最中だった。
「うむ、とにかく、お前さんの機転で事を荒立てずに済んで良かった」
甚佐は小さく肩をすくめた。
「それにしても、最近の客はどいつもこいつも廓遊びの常識ってものを心得ない輩が多いな。敵娼がいる客が他の女郎に手を出すのも法度だし、あまつさえ、それが商売女ではなく同じ見世の素人女だっていうんなら、尚更悪ィ」
「うむ、とにかく、お前さんの機転で事を荒立てずに済んで良かった」
甚佐は小さく肩をすくめた。
「それにしても、最近の客はどいつもこいつも廓遊びの常識ってものを心得ない輩が多いな。敵娼がいる客が他の女郎に手を出すのも法度だし、あまつさえ、それが商売女ではなく同じ見世の素人女だっていうんなら、尚更悪ィ」