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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第5章 第二話【春の日】其の壱
仮にも小店とはいえ表店を一つ構えて切り盛りしてきた商人だ。廓内だけではなく、世間では守らねばならない最低限の仁義というか筋があることは知っているはずなのに、まるで三つの子どもでさえ言わない無茶を平気で言う。
「ですが、旦那。あたしゃア、少し愕きました。あの炭団娘に眼を付けるお客がいるたア、流石に思いもしませんでした」
それは、おしがの本音だった。身体付きだって、およそ貧弱な、女らしい魅力は何一つないあの子どものような娘のどこに、男はそこまで惹き付けられたのかと疑問にすら思う。
「ですが、旦那。あたしゃア、少し愕きました。あの炭団娘に眼を付けるお客がいるたア、流石に思いもしませんでした」
それは、おしがの本音だった。身体付きだって、およそ貧弱な、女らしい魅力は何一つないあの子どものような娘のどこに、男はそこまで惹き付けられたのかと疑問にすら思う。