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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第5章 第二話【春の日】其の壱
最初は全身を黒く塗りたくっていたのだが、数日前、庭掃除をしていて、ぬかるみに脚を取られてしまった。丁度雨上がりで、庭があちこち、ぬかるんでいたのが禍したのだ。それゆえ、やむなく脹ら脛から下を水で洗い流すことになった。それでも人眼には触れないように気をつけていたのに、まさか、酔客がにやついた顔で自分の露わになった脹ら脛を舐めるように見ているとは気付きもしなかった。あれは、不注意だった。