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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第1章 第一話【天つみ空に】 其の壱
前者は上背があり、どことなく眼付きに険のある嫌な感じのする男だ。後者は小柄で丸顔が愛敬があるといえばいえたけれど、細いつり上がった眼は何を考えているのか、小狡そうな光を宿している。要するに、あまり拘わりたくない類の男たちであった。
御家人だと居丈高に名乗ったものの、恐らくは禄高も低い下級武士に相違ない。
「その身なり、物腰から見て、いずれ名のあるお店の娘と見える。どうだ、俺たちと共に来ぬか? ほんの一刻で良い、俺たちの相手をしてくれれば、そなたの従者だと申す女の無礼は許してやろう」
背の高い男が傲岸な物言いで言う。
御家人だと居丈高に名乗ったものの、恐らくは禄高も低い下級武士に相違ない。
「その身なり、物腰から見て、いずれ名のあるお店の娘と見える。どうだ、俺たちと共に来ぬか? ほんの一刻で良い、俺たちの相手をしてくれれば、そなたの従者だと申す女の無礼は許してやろう」
背の高い男が傲岸な物言いで言う。