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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第6章 第二話【春の日】其の弐
花魁ともなれば、陽当たりの良い続きのふた部屋をあてがわれ、豪奢な調度に囲まれて、大名の姫君並の優雅な暮らしぶりである。もっとも、その根本は身体を売る哀しい女郎の運命であるということには何ら変わりはなかったが。
右隣の東雲の部屋の襖の外から控えめに声をかけると、入るように言われた。真吉は少し躊躇い、
―ご用があれば、ここでお承りします。
と応えたのだが、なおも東雲は執拗に入れと言う。