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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第1章 第一話【天つみ空に】 其の壱
急に出現した男は懐からさっと紙に包んだ金子のようなものを取り出すと、背の高い侍に握らせた。
「まあ、そういうことなら、この場は勘弁してやっても良いが」
見かけによらず、あっさりと引くのに、傍らの丸顔が首を振った。
「あいや、待て。今日日(きようび)、御家人を馬鹿にする町人どもが多いのは嘆かわしいこと、そのようなはした金で、そちらの無礼は到底許せぬ。聞けば、伊勢屋は相当に羽振りが良いと申すではないか、仮にもその伊勢屋の内儀であれば、もう少し金を出したら、どうなのだ」
「まあ、そういうことなら、この場は勘弁してやっても良いが」
見かけによらず、あっさりと引くのに、傍らの丸顔が首を振った。
「あいや、待て。今日日(きようび)、御家人を馬鹿にする町人どもが多いのは嘆かわしいこと、そのようなはした金で、そちらの無礼は到底許せぬ。聞けば、伊勢屋は相当に羽振りが良いと申すではないか、仮にもその伊勢屋の内儀であれば、もう少し金を出したら、どうなのだ」