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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第6章 第二話【春の日】其の弐
お逸は覚悟を決めて、花魁よりはやや離れた下座にきちんと座る。今日の花魁は、薄い水色の小袖に華やかな紫の帯を前結びに締めている。小袖には雪花の模様が金糸、銀糸で縫い取られている豪奢なものだ。大方は松風の馴染み客の誰かが贈ったものだろう。
こうして間近で見ると、お逸でさえ眼を奪われるほどの美貌だ。華やかな東雲が太陽なら、たおやかな松風はさしずめ月といったところか。東雲のように化粧がいささか濃いすぎる感がせず、ごく薄化粧なところも好感が持てる。
こうして間近で見ると、お逸でさえ眼を奪われるほどの美貌だ。華やかな東雲が太陽なら、たおやかな松風はさしずめ月といったところか。東雲のように化粧がいささか濃いすぎる感がせず、ごく薄化粧なところも好感が持てる。