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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第6章 第二話【春の日】其の弐
「信八っつぁんは、何とはなしにお前の良い人に似ていなんす。口数も少なくて、いつも物静かに何かを考えているように見える―、あちきから見たら、随分と大人に見えなんした。とっつきにくい外見の割には優しくて、その優しさがあの男の生命を奪うとは、まさか、あの男も考えてなかったでありんしょう。馬鹿でありんすよ、他人を幾ら庇ったって、当の自分がおっ死んじまったら、おしまいでありんす」
最後の方は涙混じりの声になった。
最後の方は涙混じりの声になった。