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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第7章 第二話【春の日】其の参

「それでは、花魁にとっては大切な想い出のお品ではございませんか。お輿入れ先にお持ちになられた方がよろしいのでは?」
遠慮がちに言うと、松風は微笑んだ。
「気にすることはありんせん。お前がいやではないと言うのなら、あちきという女がこの見世にいたという記念に持ちなんし。あちきは、これが大切な想い出の品だからこそ、お前に持っていて欲しいなんす」
「花魁―」
お逸は胸が熱くなった。松風が差し出した笄を両手で押し頂き、受け取った。
遠慮がちに言うと、松風は微笑んだ。
「気にすることはありんせん。お前がいやではないと言うのなら、あちきという女がこの見世にいたという記念に持ちなんし。あちきは、これが大切な想い出の品だからこそ、お前に持っていて欲しいなんす」
「花魁―」
お逸は胸が熱くなった。松風が差し出した笄を両手で押し頂き、受け取った。

