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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第7章 第二話【春の日】其の参
 なのに、花魁の横顔を覆う孤独の翳があまりにも深くて濃かったから。お逸は、どうしても言わずにはおれなかった。
 松風がゆるゆるとお逸を見る。
 いつもなら生き生きとした理知の光を湛える双眸が今は光を失っている。その力ない視線が所在なげに泳いだ。
「このまま、三船屋さんにお輿入れになっても、花魁は後悔はなさらないんですね?」
 念を押すように訊ねると、松風がふっと笑んだ。何とも儚げな、花がひらひらと心ない風に散らされるような笑みだ。
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