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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第8章 第三話 【白妙菊の約束】其の壱
 何しろ、その新しく入れた少女がやがては見世の看板を背負って立つような売れっ妓にならないとも限らない。このような場面では、やり手の一存だけで決められるものではなく、長年、楼主として多くの女たちを見てきた甚佐の勘が大いに必要とされるのだ。
 だが、この日は幾らおしがが引き止めても、多治郎は甚佐の帰りを待たず帰ってしまった。おしがはやむなく多治郎が連れてきた娘たちの中から二人を買い取った。おゆきといってその名のとおり色白の大人しげな少女は十一、おろくという、これは美しいけれど少々勝ち気に見える少女は十であった。
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