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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第8章 第三話 【白妙菊の約束】其の壱
あれほどの名妓になり得る素質と器量を備えた女となれば、このお江戸広しといえども、そうそうは見つけられないのは道理である。最近、松風のことを思い出した後、どういうわけか、あのお逸―廓内の皆から〝たどん〟と蔑みを込めて呼ばれている娘―の色黒の貌がふっと浮かんでくる。
松風とあの〝たどん〟では所詮比べようもなく、月とスッポンどころか、同じ女とも思えないほどの差なのは判り切っていそうなものなのに、この妙な引っかかりは一体何なのだろうかと自分ですら合点がゆかない。
松風とあの〝たどん〟では所詮比べようもなく、月とスッポンどころか、同じ女とも思えないほどの差なのは判り切っていそうなものなのに、この妙な引っかかりは一体何なのだろうかと自分ですら合点がゆかない。