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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第8章 第三話 【白妙菊の約束】其の壱
清五郎のこの言葉は、お逸の心を打ち砕いた。父の良き理解者、幼いお逸を膝に乗せて遊んでくれた清五郎は、お逸にとって兄のような慕わしい存在であった。その清五郎が突如として豹変し、襲いかかってきたのだ。
あまつさえ、静謐な表の顔と裏の顔―ひと度タガが外れたら、常軌を逸するほどの変貌ぶりを見せる―を持つ男だと知ってしまった今、お逸の中に清五郎に対する信頼は微塵もなくなった。そんなお逸だからこそ、そのときのおしがの何げないひと言にハッとしたのである。
あまつさえ、静謐な表の顔と裏の顔―ひと度タガが外れたら、常軌を逸するほどの変貌ぶりを見せる―を持つ男だと知ってしまった今、お逸の中に清五郎に対する信頼は微塵もなくなった。そんなお逸だからこそ、そのときのおしがの何げないひと言にハッとしたのである。