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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第9章 第三話 【白妙菊の約束】其の弐
あれは、誰のことを言ったのだろう。亭主に売られたのは他ならぬおしが自身、むろん、廓に来る女たちの大方は親兄弟に売り飛ばされた者も少なくはない。
妙乃だとて、恐らくは親が女衒に売ったのだろうくらいの察しはつく。脚抜けが女郎にとっては禁忌であることを知りながら、帰ってこいと文をよこす男、妙乃を売り飛ばした親たち。文をよこした男の一生懸命さもその差し迫った状況も判るだけに、この文を見た妙乃の心中が案じられた。
妙乃だとて、恐らくは親が女衒に売ったのだろうくらいの察しはつく。脚抜けが女郎にとっては禁忌であることを知りながら、帰ってこいと文をよこす男、妙乃を売り飛ばした親たち。文をよこした男の一生懸命さもその差し迫った状況も判るだけに、この文を見た妙乃の心中が案じられた。