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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第9章 第三話 【白妙菊の約束】其の弐
 一方、お逸はおしがと入れ替わるように楼主部屋に呼び出された。
 いつものことで、甚佐はお気に入りの煙管を口にくわえ、紫煙を立ち上らせている。
「お呼びだとお伺いしましたが、何かご用でしょうか」
 きちんと両手を付いて見つめてくるその物腰も態度も申し分ない。これは、この娘の生まれ育ちがけして卑しいものではないことを何より物語っている。ちゃんとした躾を仕込む、きちんとした家―もしくは、それを教えられるだけの家庭で育ったということだ。
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