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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第9章 第三話 【白妙菊の約束】其の弐
いつものように思案に耽るときの癖で、甚佐は片頬を歪め、手前の煙草盆を引き寄せる。
―あの娘は使いものになる。
五ヵ月前、あの娘を初めて見たときの己れの勘はやはり外れてはいなかった。己れの読みが当たったことに甚佐は満足げな吐息を洩らし、一人で頷いた。
「これから忙しくなるな。花乃屋の新しい売れっ妓の誕生だ」
うまくゆけば、吉原随一の名妓と謳われた松風以上の花魁になる娘をこの自分は見つけ出したのかもしれない。
―あの娘は使いものになる。
五ヵ月前、あの娘を初めて見たときの己れの勘はやはり外れてはいなかった。己れの読みが当たったことに甚佐は満足げな吐息を洩らし、一人で頷いた。
「これから忙しくなるな。花乃屋の新しい売れっ妓の誕生だ」
うまくゆけば、吉原随一の名妓と謳われた松風以上の花魁になる娘をこの自分は見つけ出したのかもしれない。